日本でも20~30代の若い世代を中心に注目を集めているFIRE(Financial Independence Retire Early)。
若いうちに収入を上げ、倹約をして資金を貯め、貯めた資金を株式投資などの資産運用に回して資産運用から生まれる収益で生活費を賄える状態を早めにつくり、早期に会社を辞めて自由に生きる、というコンセプトです。
しかし実際は、資産運用から生まれる収益で生活費を賄える状態を早めにつくるというのは簡単ではありません。
この状態を作るためには、その過程でいろいろと犠牲にしないといけないことがあり、FIREの目指し方を間違えると、かえって幸せで充実した人生から離れていってしまうリスクもあります。
そこで今回はFIREを達成すると本当に幸せな生活が送れるのか、FIREを達成しても幸せを感じられないFIREの失敗ケースについて紹介し、自分の価値観に合わせて幸せなFIREを目指す方法について解説をしたいと思います。
FIRE達成に必要な資産額は?
例えば、結婚せず子供もいない一人暮らしで生活費が月20万円の場合、運用利回りが4%とすると、6,000万円の資産を貯めれば、資産運用からの収益は6,000万円×4%÷12カ月=20万円となり、理論上は働かずに生活費を賄えることになります。
一方で、結婚して子供がいる家庭の場合、月30万円程度は生活費がかかると思いますので、必要資金は9,000万円になります。
野村證券の「みらい電卓」で9,000万円を貯めるのに何年かかるかをシュミレーションすると、年4%で運用できる場合でも月20万円の積立を23年続けてようやく資産は9,000万円に達します。

もちろん収入にもよりますが、毎月20万円の積立を23年継続するというのはかなり大変です。
そのためには、20~30代といういろいろ経験をしたい時期に、お金を使うようなことを我慢しないといけなかったり、制約が生じます。
自分の価値観に合わせて、うまく使うところにはお金を使い、節約するところは節約する、ということができればいいですが、FIRE達成を唯一の目的として、そのためにお金を貯めることを最優先すると、かえってイベントや経験の少ない人生にもなってしまいかねません。
例えば、結婚したり子供がいたりするとFIREが遠のくから結婚も子供もいらない、と判断をするというのは、どうでしょうか。
もともと結婚願望も子供も欲しくないなら全く問題ないと思いますが、本当はそうではないのに、FIREをしたいがために、その選択をするというのは、本末転倒です。
人生を豊かにするためにFIREを目指したはずなのに、FIREを目指したがためにかえってその人の人生が豊かなものから遠ざかっていくことになる、ということにならないように注意しないといけません。
FIREを達成しても幸せになれないパターン4選
そして20~30代にやりたいことを我慢してようやく40代でFIREできるだけの資産を貯めることができたとしましょう。
それでも実際にFIREを実行に移してみると、全然幸せに感じない、というパターンがあります。
以下それらについて解説します。
やりたいことが漠然としている。やりたいことがない
まず一つ目のパターンは、やりたいことが漠然としている、やりたいことがないというパターンです。
FIREを実行して会社を辞めると毎日やることはなくなります。
ようやくたっぷりの自由な時間を得られたわけですから、これらの時間を使って思う存分、これまでできなかったことをやりたいと考えるはずです。
しかし、例えばそれが朝ゆっくり寝たいとか、昼からビールを飲んでゆっくりしたいとか、そういうことであった場合、すぐに飽きてしまう可能性も高いです。
そうすると、毎日毎日やることがない、という気分になってきます。
また、定期収入もないのでお金を使って新しいことをどんどんするというのも難しかったりするので、どんどんやることがなくなってきます。
これが一つ目の失敗パターンです。
逆に、本当にやりたいことがたくさんあって、ありすぎて、時間が足りない!という方はFIREしてこのパターンで後悔することはないと思います。
生活資金が枯渇していくのでは?という恐怖にかられる
実は年金生活者の中には一定数はこのような恐怖にかられる方がいらっしゃるそうです。
FIREして定職を失い、収入が資産からの収入だけになると、生活できるだけの収入はあっても、このような気分になり、あまり幸せを感じることができなくなってしまう、というパターンです。
思考がネガティブ(守り)になる
FIREすると基本的には節約生活が続きます。
FIREするまでも随分長い間、やりたいことを我慢しながら節約生活を続けてきて、ようやくFIREできたとなっても、さらにそこから節約生活が続きます。
節約生活をうまく楽しんでできる人もいますが、それがうまくできない人は、どうしてもやりたいことを我慢したりしていると、思考が守りになったり、性格が内向きになったり、ネガティブになったりすることがあります。
お金を使わず暮らそうということばかり考えると、新しい体験もできません。
結果として、生きていくことはできるけれども、幸せな人生か?と聞かれると、いろいろ我慢して生きた人生だったなあ、ということしか答えられないような人生になってしまうかもしれません。
疎外感や孤独に苛まれる
毎日行く会社もなくなり、人から必要とされる(指示されたり、仕事を振られたりも含めて)こともなくなり、また節約のため新しい体験もしないという生活を続けると、どうしても仲間や話し相手が少なくなったり、人とのかかわりが減ってきます。
働いているときはそれなりにストレスと感じていたことも、逆に何もないとそれがストレスに感じる人もいます。
何かやりたいことがある、そのために今の会社の仕事は辞めてそれをしたい、という場合は問題ないと思いますが、そうでない場合は、ストレスを感じながらも仕事を続けて社会とのつながりを持ち続ける方がよい場合もあります。
まとめ
人間は社会的な生き物なので、稼いで、使って、体験して、人とつながって、嫌なこともありつつ、いいこともあって、という暮らしをする方が人生は豊かになると思います。
別に他人から魅力的と思われる必要はないですが、FIRE達成のためにいろいろなことを我慢して、何も経験をしていない人は魅力的でもないかもしれません。
やりたいことがあって、ありすぎて、そのための時間が欲しい、という人がFIREをするのはすごくよいと思います。
辛いことも含めて人生の彩りですが、今の仕事を続けることであまりに自由がない場合は、仕事を変える自由はもっておいた方がよいです。
その意味ではFIREできる状態を達成するということには大きな意味があります。
一方でFIREの達成のためにあまりに今を犠牲にしすぎるとかえって幸せから遠ざかることもあります。
趣味や好きなことを社会に還元し、社会の役に立つことでお金を稼ぎ、好きなことにお金を使い、生きていく、これができると理想です。
人それぞれの価値観に合った形で、もともとの目的を見失わずに幸せなFIREを目指していけるといいですね。
今回の記事の内容は、最近読んだ以下の本を読んで感じたことです。
Kindle Un-limitedでも読めます。面白かったので、FIREに興味のあるかたはよろしければ一読してみてはいかがでしょうか。



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