米国の金利上昇に伴い、社債の利回りも1年前と比べてかなり魅力的な水準になっています。
その中でも特に利回りが高いのが、銀行の発行する劣後債です。
劣後債の利回りは、例えば三井住友フィナンシャルグループ発行の劣後債(期間7.5年)で4.368%とかなりの高利回りです。
債券は発行体がデフォルトしない限りは元本が減ることはないですし、安定した利息を受け取れるので、この水準の利回りがあると、配当金生活やFIRE後の安全運用においてもかなり有力な投資先候補になりえます。
今回は、銀行劣後債への投資について紹介します。
劣後債とは?
まず劣後債について、ポイントだけ簡単に説明します。
劣後債というのは、劣後返済特約付き社債のことで、元本と利息の返済順位が普通社債と比べて低い社債のことを言います。
ただ、返済順位が低いといっても、主には発行者が倒産などデフォルトした場合などには普通社債より返済を受けられるのが後になる、ということですので、デフォルトなどが発生しなければ、元本と利息は通常の社債同様、予め決められたスケジュールで支払われます。
劣後債のメリットとは?
普通社債より利回りが高い、というのが一番大きなメリットです。
劣後債のリスクとは?
劣後債に特有のリスクは、倒産時の返済順位が普通社債より後(劣後する)、ということです。
あとは、一定の条件時(赤字など)利払いを停止できる条項が付いているものがたまにありますので、これは投資する前に一応確認が必要です。
その他に、発行体の倒産リスクや金利上昇に伴う価格低下リスク(中途売却時)、ドル債の場合は為替リスクなどもありますが、これらは劣後債のリスクというよりは社債投資に共通のリスクです。
劣後債投資は魅力的なのか?
劣後債と普通社債の利回りの差
以下はSBI証券で売られているドル建て債券をいくつかピックアップして比べてみたものです。
| 残期間 | 利回り | 差 | |
| SMFG劣後債 | 7年 | 4.368% | |
| SMFG普通債 | 6年 | 3.944% | -0.424% |
| MUFG普通債 | 7年 | 4.068% | -0.3% |
| 米国債 | 7年 | 2.831% | -1.537% |
米国債とは約1.5%の利回り差がありますが、普通債との利回り差は約0.3%とそこまで大きい訳ではありません。
どちらを選ぶか、ということですが、投資スタンスによります。
まず、劣後債のデメリットは「デフォルト時に」返済順位が劣後する、という点ですが、そもそもSMFGやMUFGがデフォルトするような事態=相当なパニック状態だと思いますので、普通社債であっても全額償還されるのかは怪しいかもしれません。
そのように考えられる人は、どっちも大して変わらないリスクなら少しでも利回りが高い劣後債、という選択肢はありだと思います。
少しでも安全な(万が一SMFGやMUFGがデフォルトしたときでも回収可能性が高い)方がいい、という方は普通社債を選ぶのが無難でしょう。
(もっともそれであれば社債ではなく米国債を選ぶ方がよいかもしれません)
劣後債投資と銀行株式への投資の比較
劣後債投資と銀行株式への投資のメリット・デメリットを比べたのが以下の表です。
| メリット | デメリット | |
| 劣後債 | 元本は保証されている(デフォルト時以外) デフォルト時の優先順位は株式より上 基本的には利息は一定 | キャピタルゲインはない(中途売却時は除く) 配当利回り>劣後債利回り ドル建ての投資になる |
| 株式 | キャピタルゲインも狙える 配当利回り>劣後債利回り 円建てで投資できる | 元本毀損リスクはある デフォルト時の優先順位は劣後債より下 業績次第で配当額は変わる |
なお、現在の三井住友フィナンシャルグループの配当利回りは5.5%、三菱は4.33%です。
ただし株式投資には値下がりリスクがあります。
株式投資を選ぶか、劣後債投資を選ぶかは、投資する目的によります。
元本が減るリスクは抑えて投資したいなら劣後債投資、元本が減ってもいいのでキャピタルゲインも狙いたいということであれば株式投資を選ぶ、といった具合になります。
まとめ
今回は銀行劣後債への投資について紹介をしました。
金利の上昇により、劣後債の利回りが高くなっているため、FIRE後とか定年後のようにそこまで高い運用利回りは不要だけれども、リスクは抑えて安定的なインカムゲインを確保したい、という方にとっては選択肢の一つとなると思います。
もちろんSMFGやMUFGが7年以内に倒産するかも、と心配になってしまう人には向いていません。
リスク許容度と自身のポートフォリオのバランスを見ながら、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

運用総額が増えてきたり、定年後など、リスクを抑えた投資にシフトをしていきたいタイミングというのがあると思います。
SMFGやMUFGの倒産リスクは取れるという方であれば、利回りが4%を超える銀行劣後債は魅力がある投資先になりえるかもしれませんね。
私も少額ですが、シティバンクの劣後債に投資をしています。
劣後債を購入した際の記事はこちら




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