SBI証券でJT(日本たばこ産業)の米ドル債を購入しました。
今回はJT(日本たばこ産業)の米ドル債を購入した理由について紹介します。
JT(日本たばこ産業)の米ドル債を購入した理由
まず、購入した理由です。
- 保有していた日本生命ドル建て社債が償還となり、ポートフォリオのドル建て債券ポジションを他の債券で埋めるため
- 準ソブリン(筆頭株主が国)の割に、他日系銘柄ドル債と比べて利回りが高かったから
- 懸念要素はあるものの(詳細後述)、期間10年以内であればデフォルトリスクは小さいと判断したから
では、次に購入したJTの米ドル債の概要です。
JT(日本たばこ産業)の米ドル債の概要
残期間約9年で利回りが4.6%。クーポンは5.85%です。


日系企業が発行する残7~9年の米ドル建て社債の中では格付けが高い割に利回りがよいです。
例えば、丸紅の残8年11カ月のドル債は4.473%ですが、丸紅より格付けが高いJTの9年1か月のドル債は4.602%です。
理由ははっきりとはわかりませんが、健康に害がある「たばこ」産業ということで、ESGを気にする投資家はJT債を避けるといった面も影響あるのかも知れません。

同じぐらいの年限の米国債と比べても利回りは0.6%ぐらい高いです。

次にリスクについてみていきます。
JT債のリスク
主には以下のリスクがあります。
デフォルトリスク
9年以内にJTが元本・利息を払えない状況になるリスクです。
喫煙者の減少などいくつか注意すべき点がありますが、それらを勘案しても10年以内の期間の債券であればデフォルトリスクは限定的と私は判断しています。
詳しくは後述します。
為替リスク
円高ドル安になり、円建てで損をするリスクです。
私の場合、円高/円安の両方のリスクに対応するため、資産の一定額はドル建てで運用することにしています。
今回の購入分はその一定額の範囲内の資金のため、円高リスクは気にしていません。
JTの事業リスク、デフォルトリスクについて
主には以下4点を注意しています。
健康訴訟による巨額の賠償金発生のリスク
JTは2025/12決算で3,756億円の訴訟損失引当金を計上しました。
これはカナダで長年続いていた健康被害をめぐる集団訴訟(喫煙で健康被害を受けた原告団が十分な警告なしにたばこを販売した責任を追及)で、JTのカナダ子会社、フィリップモリス、ブリティッシュアメリカンタバコの大手3社に合計3.5兆円の和解案が示され、まず3,756億円を頭金で支払い、その後JTのカナダ子会社の利益から20~30年かけて残りを支払うことで合意をしたことに基づきます。
今後、各国で同様の訴訟が続いた場合の本業への影響が懸念点です。
一方で、カナダの例もそうですが、訴訟の被告はJTのカナダ子会社のみで、JT本体とは切り離されています。
そのため、2025/12期もJT本体は致命的なダメージは負っておらず、配当も予定通り出しています。
なお、日本国内ではJTは健康被害訴訟で負けたことはないようです(国が大株主だからかどうかは知りません)。パッケージに「健康を損なう恐れがあります」と記載されており、日本の裁判所は「喫煙は個人の自由な選択(自己責任)」という立場を取っているようです。
もちろん、今後他の国で同様の事象が起こる可能性はありますが、JT本体への影響を限定できる形で決着できるのであれば、大きな影響は避けられると私は判断しました。
喫煙者の減少による収益低下リスク
日本国内を含む先進国の喫煙者は減少の一途ですが、発展途上国の人口増加を加味すると、当面は世界全体では大きく減少はしないようです。
たばこ産業は、日本では財務省による認可制で国がJTの筆頭株主なので新規参入は考えずらいですし、世界的に見ても、中国煙草総公司、フィリップモリス、ブリティッシュアメリカンタバコ、JTなどのメジャー数社の寡占状態です。
たばこ産業は装置産業ですし、10年以内に新規参入企業が現れてJTのシェアが大きく落ちるというリスクはおそらくないと思います。
これらのことから、10年以内に喫煙者減少がJTの収益に影響を及ぼす程度は限定的と私は考えています。
ロシア事業停止による収益低下リスク
JTはロシアでのシェアが高く、2023年度はロシア事業でJT全体の営業利益の約20%を稼いでいました。
ロシア事業については、将来的に停止リスクは常に想定しておく必要がありますが、最近も米国のたばこ会社を買収するなど、ロシア以外での事業拡大を図っています。
会社側もこのリスクは十分認識しているでしょうから、致命傷にならないように、他エリアでの事業拡大などの手を打つでしょう。
国の持ち分売却(完全民営化)リスク
東日本大震災の後にも、財源確保のため、国が保有するJT株の全株売却の議論がありました。
しかし、いま現在も「日本たばこ産業株式会社法(JT法)」で、国がJTの1/3以上を保有することが定められており、売却のためには、法案を提出し、法律を変える必要があります。
また、現状、JTは国内葉タバコ農家から全量買い取りをしています。もし国がJT株を売却した場合には、将来的にJTが国内葉タバコ農家からの全量買い取りを辞める可能性もあり、地方の葉タバコ農家は株売却に反対をしていますので、このあたりの補償の調整も必要です。
財務省でたばこ税の税収やたばこの価格もコントロールできなくなりますし、JTからの受取配当金もなくなりますので、一時の売却益を取るかの判断はひと悶着あるでしょう。
さらに、1/3の株を売却すると価格に対する影響が大きすぎるため、もし売るとなっても日本郵政などのように段階的に数年かけて、ということになるでしょう。
そのため、10年債の償還に影響があるタイムスパンで物事が進むか、というと、わたしはそうでもないか、と考えています。
以上4点、わたしが気になったリスクです。
でも、よく考えたらJTの株式に投資していたら、JTの債券に投資する以上に、これらのリスクが顕在化したときの影響はあるでしょうし、債券がデフォルトになるほどの影響が発生する可能性はそこまで高くない、と私としては考えました。
まとめ
今回はJT(日本たばこ産業)の米ドル債について紹介しました。
JTは高格付け&国が筆頭株主の銘柄ですが、日系他社や米国債と比べても少し利回りは高いため、考えようによっては妙味があると思います。
ただし、記載したようなリスクはありますし、社債なので、万が一のデフォルトに備えて、複数銘柄に分散して投資はしています。
本日もお読みいただきありがとうございました。
本記事は筆者の個人的な考えを述べたものであり、紹介している債券への投資を薦めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。



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