最近、注目を浴びている債券投資ですが、SBI証券や楽天証券の外国債券一覧を見ると、7%以上の利回りの新興国債券が売られています。

高利回り、かつ発行体は欧州投資銀行など格付けも非常に高い先であることから、魅力的に感じて検討してみようかな、と思われたことがある方も多いと思います。
今回は、新興国債券をポートフォリオに組み入れるべきか?について検証してみようと思います。
新興国債券をポートフォリオに組み入れるべきか?
結論としては、不要、と考えます。
以下、理由を説明します。
新興国債券が不要な理由①為替下落リスクが大きい
一つ目の理由は、新興国通貨は為替下落リスクが大きいためです。
いくら高利回りでも、債券保有期間中に受け取った利息の総額以上に為替が下落してしまえば利益はふっとびます。
以下は、南アフリカランドとトルコリラの長期の対日本円の為替チャートですが、新興国通貨は非常に為替の変動リスクが大きいため、高利回りであったとしても、期待通りの収益を上げられるかどうかは、非常に不透明です。
それが新興国債券を不要と考える理由の第一です。
南アフリカランド円の長期チャート
1995年3月から2023年2月の28年で約69%下落をしています。
単純に年平均すると約2.46%/年の下落です。

もちろん時期によっては上昇をしている時期もあるため、たまたまその時期に投資をしていれば、高い利回りを享受した上に、為替損も回避できるということはあります。
一方で、1998年から2001年などはわずか3年で約62%も下落をしています。
このように悪いときには短期で大きく下落する可能性のあるボラティリティーの高い投資対象であることをまず頭に入れておく必要があります。
トルコリラ円の長期チャート
次にトルコリラ円ですが、こちらは更に変動が大きいです。
以下は2006年5月から2023年2月の約17年のチャートですが、約91%も下落をしています。
単純年平均ですと約5.3%の下落です。

仮に8%の税前利回りの債券を5年保有したとして、税金約20%控除後6.4%×5年=32%の利息を受け取ったとしても、年平均5.3%×5年=26.5%の為替損が発生すると、5年で5.5%の利回り(1.1%/年)となり、リスクの大きさに見合った投資なのか疑問符が付きます。
新興国債券が不要な理由②高利回りには高利回りの理由がある
新興国債券が不要と判断する理由は、高利回りには高利回りの理由があるためです。
もちろん利回りが高いのは魅力的に映りますが、通常、高利回りには高利回りの理由があります。
新興国債券の場合、それは通貨の信頼性が低いことと、インフレ率が高いことです。
新興国債券の通貨の信頼性は低い
南アフリカやトルコなどの新興国は、経済力が弱く、慢性的な経常赤字に悩まされている国も多いです。
以下は南アフリカ、トルコと日本の経常収支の推移を比較したものです。
世界経済のネタ帳より引用
国の経済力が上がってこないと、基本的には通貨安の方向に為替は動きますし、国内の資金需要を賄うために外国からの資金流入を必要とするため、経済危機などが発生したときには、資金流出により大きく為替が安くなるなど脆弱性があります。
トルコは政情不安のニュースを見ることがあると思いますが、政治的にも安定していない国も多く、それらも通貨のボラティリティーを大きくする要因になっています。
このように政治、経済が安定しておらず、また通貨を発行する中央銀行の信頼性も、円を発行する日本銀行やドルを発行するFRBなどと比べると、低いと言わざるを得ません。
新興国はインフレ率が高いので、高利回りはある意味当然
ここ最近はインフレが日常的に話題になることが増えたので、インフレ率が高い=通貨の価値は下落ということは感じやすくなったと思います。
以下は南アフリカとトルコのインフレ率の推移です。
南アフリカでも大体5%前後のインフレ率、トルコはたまに話題になりますが、ひどいときは年100%のインフレ率といったこともあります。
これらをみても、通貨の信認性が先進国通貨と比べて低いのは明らかで、新興国債券への投資=モノの価値に対して、価値がこれだけ動いてしまうことがある通貨への投資、ということは認識しておく必要があると思います。
まとめ
今回は新興国債券への投資をポートフォリオに組み入れるべきか?について検証をしました。
個人的な意見としては、安定的に資産形成をしていくことを目的に資産運用をするのであれば、新興国債券への投資は不要、と思います。
理由はボラティリティーが高い割には、為替リスク考慮後の利回りが低いためです。
もちろん短期的な儲けを狙って、相場観を持ってFXなどで新興国債券に投資するなど、「遊び」としては全然よいと思いますが、あくまで長期的な視点での安定的資産形成においては主役にはならないという意見です。
もちろん20~30年後には、アジアやアフリカなどのGDPも大きく伸び、世界の中心が変わっていく可能性は大いにありますので、新興国をポートフォリオに組み入れないのは、「持たざるリスク」があります。
ただ、新興国への長期投資といった観点でいくと、個別の新興国債券に投資をするよりは、新興国に分散投資できるETFなどに長期積立投資を行う方がよいと思います。

最近はフロンティアマーケットに分散投資するETF(FM)などが紹介されている記事や動画をみることも増えました。新興国の成長を取り込みたいのであれば、分散投資可能な株式ETFは一つの候補になるかなと思います。







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