先月、世界的な金融機関であるスイスの銀行クレディスイスが信用不安によって、同じスイスの銀行UBSに合併されるという衝撃的なイベントがありました。
その合併の際に、クレディスイスが発行していた劣後債が無価値になり、債券投資家に衝撃を与えました。
しかも、合併によりクレディスイスの株式の価値はゼロにはならなかったため、株式と債券の返済順位が逆になるということが発生しました。
これにより改めて劣後債への投資のリスクが意識されるようになり、劣後債の利回りは上昇しています。
今回は、銀行劣後債に投資していて大丈夫なのか?ということについてみていきたいと思います。
銀行劣後債に投資していて大丈夫なのか?
結論としては、心配なら保有分はいったん売却、新規は様子見が無難、だと思います。
理由は、
①安定的なインカムと元本保証を求めて債券投資をしているなら、個別企業の信用リスクはとらない方がいいから。
②いまは金融機関の本当の経営状況が読めない状況だから。
です。
債券投資は安定的なインカムと元本保証が大事
プロや経験の多い個人債券投資家は別として、一般的に個人投資家が債券に投資をする理由は、安定したインカムゲインが欲しい、元本が目減りしない投資がしたいといったことが多いと思います。
そのため、円であれば個人向け国債、ドルであれば米国債への投資が中心となり、それ以外では、投資先が広く分散された債券ETF(AGG、BNDなど)が人気があります。
一方で、より高い利回りを債券投資に求める場合、銀行劣後債や企業の発行する社債(ソフトバンクや楽天が発行する社債など)が選択肢として入ってきます。
社債に投資をする際は、企業の信用力を示す格付けや企業のイメージなどから、倒産することはないだろうという企業が発行する社債を選んで投資をしていると思います。
ただ今回は、世界的にも有名なクレディスイスが破綻したため、改めて社債投資における信用リスクが意識されることになりました。
わたしもCiti Bankの劣後債をポートフォリオの一部として保有していますが、アセットアロケーション上での債券カテゴリーに求める本来の役割からすると、やはり債券投資は国債や広く分散されたETFの方が枕を高くして寝れるかなと感じており、そちらを中心にしていこうと考えています。
いまは金融機関の経営状況が読めない状況
クレディスイスやアメリカのシリコンバレー銀行が破綻した後、多くの報道がなされていますが、破綻した銀行の個別の経営の問題、という論調も多く聞かれます。
確かに、クレディスイスの株価は破綻前から低迷していましたし、シリコンバレー銀行はIT関連企業からの預金に調達が偏っていたことなどは、他の金融機関とは異なっているので、個別の経営の問題、という面はあると思います。
一方で、ではこれらの問題が破綻前から広く知られていたかというとそんなことはなく、あくまで破綻や信用不安がおこってから原因をみていくとそうだった、というもので、事前に問題を把握していた個人投資家は少ないでしょう。
シリコンバレー銀行からの預金流出については、米国での急激な金利上昇で、IT企業が増資による資金調達が難しくなり預金引き出しが増えた、金利上昇でMMF(マネーマーケットファンド)が預金より魅力的になり預金引き出しが増えた、など、金融マーケットの動きが破綻の遠因になっている面もあります。
過去にない急ペースでの利上げがどういう経路でどのような影響を及ぼしているのかを完全に把握するのは簡単ではありません。
あくまで破綻がおこってから、そういう影響がでていたんだ、、ということが明るみになるだけで、今日時点でどこにどういう影響が出ているのか、金融機関の本当の経営の状況はどうなのだろうか、というのが見えにくい状況です。
米国のインフレ率上昇はピークアウトの兆しを見せていますが、銀行の融資態度の厳格化、今後景気の落ち込みも予想されており、不良債権の発生、不動産価格下落などの懸念もあります。
こういったことから、いまは個別の銀行の信用リスクをとるには、少し不安な状況かなと思います。
まとめ
今回は、銀行劣後債への投資は大丈夫なのか?ということについてみてきました。
銀行劣後債の利回りは上昇していますが、足元の不透明な状況を考えるといまは個別の銀行の信用リスクをとる局面ではないかと思います。
機関投資家は別として、個人投資家は個別企業の信用リスクを調査する情報ソースも限定的なので、こういう時期は無理せず、社債に投資する場合はリスク許容範囲内で行うのがよいでしょう。

わたしも当面は債券カテゴリーは米国債中心の買い増しにする方針です



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