米国債券の利回りが再び上昇しています。
足元で10年債の利回りは約3.7%、2年債は約4.2%と日本の銀行預金などと比べてかなり高利回りになっており、投資を検討されている方も増えていると思います。
一方で、日米金利差の拡大から円安は続いています。
米国債に投資した後、円高になると、円建てでの投資リターンは悪化しますし、為替レート次第では円建てでは元本割れになる可能性もあることから、米国債への投資を躊躇されている方もいるでしょう。
今回は、円安のいま、米国債への投資はありなのか、について解説します。
結論:短期投資としてはなし。国際通貨分散投資の一環として長期で投資するなら時間分散購入はあり。
まず、結論です。
- 短期投資としてはなし
- 国際通貨分散投資の一環として長期で投資するなら時間分散購入はあり
以下、理由を解説します。
短期投資としてはなし
短期投資としてはなし、とした理由は、投資後円高になると高利回りによるリターンは吹き飛ぶから、です。
ドル円の動き
ご存じの通り、足元は円安が続いていますが、この円安はかなり急ピッチで進んだものです。
以下は過去1年のドル円のチャートですが、1年間でドルは円に対して29%も上昇しています。

円安の背景には、日米金利差の拡大や日本の貿易赤字、国力低下などさまざまな理由が挙げられています。
9/22には日本政府による24年ぶりの円買い介入が行われ、一時的に140円程度まで円高になりましたが、再び143円台に戻っています。
米国は9/21のFOMCで政策金利を0.75%引き上げ3.25%としましたが、インフレ率が高止まりしており、11月、12月のFOMCで更に利上げをし、2022年末の政策金利は4.4%程度になることが予想されています。
米国の利上げ継続により日米金利差は拡大するため、すぐに円高に戻ることを予想する人は少ないです。
一方で、購買力平価などからすると現在の水準は円安すぎるということも言われています。
為替レートは、金融政策の他にも需給やファンダメンタルなど様々な要素の影響を受けるため、今後の動きを正確に予想するのは困難と考えるのがよいと思いますが、1年で約30%円安になったことからも、逆に1年で同程度円高になることも為替の世界では起こり得ると認識しておく必要はあります。
ドル円が115円まで円高に戻った場合の円建て投資リターン
具体的に米国債に投資した後、ドル円が115円まで円高に戻った場合の円建て投資リターンがどうなるかをみていきます。
今回は、SBI証券の既発債のうち、2024/11/15償還期限の約2年の債券(以下表の2番目のもの)を使います。

償還時の為替レートの違いによる結果は以下の通りです。
ドル円レートが変わらなければ3.9%程度の利回り(税引前)が得られますが、ドル円が132円なると円建てでリターンゼロ、115円になるとマイナス5.86%になります。

利回りが上がったとは言え、債券の利回りは3~4%程度のため、為替がそれ以上に動くと利益は吹っ飛びます。
いまの円安が過去1年で急激に進んだことを考えると、何かのきっかけで急激な円高への揺り戻しが起こる可能性は低いとも言い切れないと思います。
そのため、円建てでの投資として短期でのリターンを狙うのであれば、あまりよいタイミングではないと思います。
国際通貨分散投資の一環として長期で投資するなら時間分散購入はあり
一方で、以下のような場合は、円安のいまでも米国債への投資を検討してもよいと思います。
- 保有資産が円建てに偏っており、円高よりむしろ更なる円安にリスクを感じている
- 資産の一部はドル建てで長期で運用するつもりである
保有資産を円建てだけで持つリスク
さきほど見てきたように、短期で考えた場合、急激に進んだ円安の揺り戻しとして、円高になるリスクはあります。
そのため、円建てでのリターンを狙って短期で投資する場合、米国債の金利が上がったとは言え、いま米国債に投資をするのはあまりおすすめしません。
しかしながら、保有資産を円建てだけで持つことにもリスクはあります。
この1年のように急激に円安が進んだ場合、円建て資産しかもっていないと、海外からモノを買う際の購買力は低下しますし、海外旅行で使えるお金も実質的に減少します。
日本で今後少子高齢化が進むと更に日本の経済力は落ちていくこともありえますし、長期的にみて円安が更に進んでいくリスクはあります。
これらのリスクを軽減するためには、国際分散投資(通貨分散投資)が必要です。
国際通貨分散投資をするのであれば、長期的に資産の一部はドルで運用をしますので、一時的な円高揺り戻しはたいした問題ではなくなります。
この場合、純粋に、ドル資産を株式で運用するか、債券で運用するかの比較になります。
ドル資産の運用として考えた場合、債券の魅力は増している
以下は米国債の年限別利回りを示したグラフです。
紫色が現在の利回りで2年で4%超となっています。
水色は1年前の利回りで2年だと利回りは0.5%以下だったことがわかります。
例えば米国高配当株ETF(VYM)の利回りが3%台ですので、ほぼ無リスクの米国債で4%の利回りを得られるのは、米国株式との比較において十分魅力的な水準と言えます。

もちろん米国株式も株価下落により以前と比べると割安になっており、ここが株式の仕込み時という考え方もあります。
そのため、ドル資金を米国株式に振り向けるか、米国債券に振り向けるかは、各人の投資スタンス次第ですが、1年前には投資対象としてあまり魅力がなかった米国債券が投資対象として魅力があるレベルになってきたのは確かです。
まとめ
今回は円安が進む中、利回りが上がっている米国債への投資はどうなのか?について解説をしました。
以前にも、円安下で米国債券ETFに投資するのはどうかについて記事を書きましたが、外国債券投資の場合、為替レートの変動による投資リターンへの影響は大きいです。
そのため、短期的なリターン狙いの投資ではなく、長期的な視点で国際通貨分散投資の一環として投資する、ということであれば、足元の円安環境下でも米国債券投資は検討してもよい、という結論としました。
ただ長期投資の場合でも、円安時に大量のドル建て投資を一気にしてしまうと、その後円高になった場合には長期での投資リターンも悪くなってしまいますので、購入方法についてはやはりドルコスト平均法などで時間を分散して購入していくことをおすすめします。

私は総資産の約17%がドル建て資産になっています。もう少し増やしていいと考えているので、米国株積立購入をしていますが、米国債もしくは利回りが5%近くになっているドル建て銀行債の追加購入も検討しています。
関連記事はこちら





コメント